俺はキミの生徒





『……いたのか、柚木ちゃん』


まさか俺の他にもこんなクソ寒い夜に外に出る物好きがいるとは。




「うん。いたよ。

にしても…寒いね」


『じゃあなんでここにいるんだよ?』


「だってね?さっきテレビで今夜は満月です、って言ってたから。

なんか久々にぼーっとしようかな~って思ったんだ」



考えることはみんな同じか?

それともたまたま柚木ちゃんと俺の考えがカブっただけ?


でも、偶然だとしてもちょっと嬉しい。



『そっか』


手を擦り、はぁ…と息を吐く。


夜空がどんだけ綺麗であろうと寒さには勝てないな、やっぱり。

もし柚木ちゃんがいなかったら今ごろこたつで丸くなっていたと思う。



「星…綺麗だね。」


『………うん』



「まん丸だね、月」


『そりゃあ満月だからな』


「だよね」


そこで会話が途切れる。


なんだか今日の会話はぎこちない。

そう思うのは俺の気のせいだろうか。








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