俺はキミの生徒
『柚木ちゃん』
沈黙が耐えられなくて俺から声をかけた。
「ん?」
『次の学校は…ここから通えるところにあるんだよな?』
実はずっと気になってた。
柚木ちゃんが転勤を決意したときから、ずっと。
「………無理、かな…」
予想通りと言えば予想通りだ。
でも、そんな予想、外れてほしかった。
何も言えなくて。
空を見上げた。
「ここには加奈が1人で住むことになると思う。
だから加奈のこと、よろしくね。
加奈、修司のこと本当の弟みたいに思ってるんだよ?」
俺がよろしくされたいのは柚木ちゃんだ。
加奈さんはそりゃあ大事な人だけど。
でも、俺は柚木ちゃんのほうが心配だ。
おっちょこちょいで見てていつもドキドキして。
掃除も料理も苦手で。
そんな柚木ちゃんを1人にするなんて、不安だろ。
でも、俺がどんだけ柚木ちゃんを心配したってどうもできないんだ。
あ~ぁ…俺、柚木ちゃんの行く学校に転校したい。