俺はキミの生徒





「先生たちからは何も言われなかった。

絶対、記事のことは知ってると思うんだけどね。


で、まあもちろん今日も当たり前に数学の時間があったんだけどね?

柚木ちゃん、泣きそうな顔して教室に入ってきたの。


うちのクラスは誰1人として記事のことを聞く人はいなかった。

だけどきっと、いろいろ言われたんだと思う。


職員室でも軽蔑された目で見られてたんだと思う。


とにかく、今の柚木ちゃんは危ない。

いつ、壊れてもおかしくない状態。


だからさ、修司。

お願いだから柚木ちゃんのこと、支えてあげて。」


志帆のすがるような目。


でも、そんなこと言われても俺は何もできない。

……何も、しちゃいけない。



『志帆、俺にはできない。

だって、柚木ちゃんの転勤は俺のせいなんだぞ?


なのに俺が柚木ちゃんを支える、だって?

無理だろ、そんなの。


俺は柚木ちゃんに合わせる顔がない…』


「修司………」


志帆の悲しそうな目。

俺はその目から視線を逸らした。


見つめていたら、言ってしまいそうだったんだ。



『俺が柚木ちゃんのこと、支えるから。

だから、安心しろよ』


って。







< 260 / 306 >

この作品をシェア

pagetop