俺はキミの生徒
「先生たちからは何も言われなかった。
絶対、記事のことは知ってると思うんだけどね。
で、まあもちろん今日も当たり前に数学の時間があったんだけどね?
柚木ちゃん、泣きそうな顔して教室に入ってきたの。
うちのクラスは誰1人として記事のことを聞く人はいなかった。
だけどきっと、いろいろ言われたんだと思う。
職員室でも軽蔑された目で見られてたんだと思う。
とにかく、今の柚木ちゃんは危ない。
いつ、壊れてもおかしくない状態。
だからさ、修司。
お願いだから柚木ちゃんのこと、支えてあげて。」
志帆のすがるような目。
でも、そんなこと言われても俺は何もできない。
……何も、しちゃいけない。
『志帆、俺にはできない。
だって、柚木ちゃんの転勤は俺のせいなんだぞ?
なのに俺が柚木ちゃんを支える、だって?
無理だろ、そんなの。
俺は柚木ちゃんに合わせる顔がない…』
「修司………」
志帆の悲しそうな目。
俺はその目から視線を逸らした。
見つめていたら、言ってしまいそうだったんだ。
『俺が柚木ちゃんのこと、支えるから。
だから、安心しろよ』
って。