俺はキミの生徒
「学校の中に入ったと同時にあれ?って思ったんだ。
だってね?あたしを見てみんな、コソコソ何か言ってるの。
それもニヤニヤしながらね。
でも、気にしなかった。
そんなこと気にしてたら教師なんてやっていけないんだもん。
だけどね?職員室入ったら一瞬にして空気が凍った気がして。
あたし、必死で考えたんだ。
何やったんだろう、って。
コソコソ話されるような覚えないのに、って。
それに職員室にいる先生たちからの視線がものすごく、痛かった。
それでもいつも通りでいようと思ってたところに志帆ちゃんが来たの」
志帆の用事っていうのは柚木ちゃんのところに行くことだったのか。
ってことはやっぱりアイツ、知ってたんだな。
俺と柚木ちゃんがウワサになってること。
「志帆ちゃんに全部、聞いたんだ。
今、どうなってるのか、ってこと。
それ聞いたら納得…しちゃった。
誰でもコソコソ話したくなるだろうな、って。
生徒とウワサのある先生に冷たい視線を送るのは当たり前だな、って。
そうやって、どこかで割り切ってる自分がいるのに、
でも…そんなみんなの態度で傷ついてる自分がいたの。」
語尾が震える柚木ちゃん。
でも俺は黙ったまま、聞いていた。
気の済むまで話してくれればいい。
きっと、俺の役目は柚木ちゃんの話を聞くことだから。