俺はキミの生徒





「職員室に居づらかったから授業がないときは図書室にいたんだ。

あそこがあんなに静かで落ち着く場所だとは思わなかったなぁ…」


そう呟く柚木ちゃんの瞳はやっぱり切なげで。

もしかしたら1人になった図書室で泣いていたんじゃないだろうか。



「どんなに辛くてもさ、仕事だから授業には出たの。

当たり前にみんなの視線が痛かった。


どこのクラスにいっても好奇の目で見られて、

ほとんどのクラスで聞かれた。


先生は誰と付き合ってるんですか?って」


それを聞いたヤツを殴り飛ばしたいと思った。

それほどに俺はムカついていた。



「でもね、修司のクラスだけ、みんないつも通りにしてくれたの。

すっごく、嬉しかったんだ」


また、語尾が震える。

静かに視線を上げると柚木ちゃんはキレイな瞳から大きな雫を零していた。



「みんながみんな、いつも通りでね。

誰もあの記事のことは聞いてこなかったの。


それにね、どの教室にも貼ってあるあの学校新聞が修司のクラスだけ剥がされてたの。

見回りするフリしながらね、ゴミ箱覗いたらビリビリに破られてた。


それ見たら、嬉しくて、悲しいヤツじゃなくて嬉しい涙が出そうだったんだ。


このクラスの子たちはみんな、いい子だな、って改めて思った」


うちのクラス…最高じゃん。

あまり新や志帆以外のクラスメイトとは話したことがなかったが明日から少しずつ、話してみようかと思った。









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