俺はキミの生徒





「転勤を勧められたのは新聞にも書いてあったように生徒と恋愛関係にあったことを隠蔽(インペイ)するためだった。

1つ、みんなに聞いてもらいたいのは本当は生徒と恋愛関係にはなかった、ってこと」


ここまできて、初めて柚木ちゃんが俺を見た。

でもそれは一瞬のことで、すぐに逸らされる。




「あたしのうちの隣には確かにうちの学校の生徒が住んでた。

それは本当に偶然だったの。


けど、だからってその生徒と恋愛関係にはならなかった。」


なんだか柚木ちゃんを直視するのが辛くなってきて。

俺は頬杖をついたまま、視線を窓の外に送った。




「恋人同士では、なかった。

けど、好きだったかどうか聞かれると…あたしはなんとも答えることができない…」


そんな柚木ちゃんの言葉に不覚にも胸がドクッと鳴った。



柚木ちゃん…それ、どういう意味だよ?

好きだったかどうか聞かれるとなんとも答えられない、って。



俺は…柚木ちゃんにとってただの生徒じゃなかった、ってこと?

少しは俺を生徒としてじゃなく、男として見てくれてた、ってこと?


もし、そうなら。

もし、そうなら俺…ちょっとだけ、自信過剰になっていい?



柚木ちゃん…俺のこと、好きかもしれないってこと?














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