俺はキミの生徒




加奈さんがうちを出て行ってからどれくらい経ったのだろうか。


【ピーンポーン】

とうちのインターフォンが鳴ったのは時計の短針が8を少し過ぎた頃だった。



まだ柚木ちゃんが鳴らしたとは限らないのに1歩1歩玄関に近づくにつれて胸の鼓動が大きくなっていった。



『……どなたですか』

ドアの前に立ち言う。



「木下です。修司、開けて」

その声は間違いなく、柚木ちゃんで。


俺はドアノブをおろしてドアを押す。



「加奈に言われて来たんだけど…」


『うん、とりあえず入って』


柚木ちゃんはいつも通り、脱いだ靴を揃えてリビングに入っていく。


俺は柚木ちゃんがリビングに入ったのを確認して大きく深呼吸をした。




………ダメだ。


どう頑張っても鼓動は遅くならないし、

音も小さくなってくれない。


柚木ちゃんには聞こえてないだろうけど。

でも、耳に響くんだよ、自分の鼓動が。


それが余計に緊張を呼んで。


どうすれば高ぶったキモチは抑えられるんだ…?








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