俺はキミの生徒
「修司も大人になったら分かるよ。
大人はいろいろあるもん」
どうやらさっきの言葉、柚木ちゃんに聞こえてたらしい。
『学生だっていろいろある。』
また小声で呟く俺。
「学生のときの悩みなんてまだ可愛いもんだよ。
大人の悩みはドロドロで汚いものばっかり。
ヤになっちゃうよ」
柚木ちゃんはそう言ってクスッと笑った。
隣を見るとベランダから柚木ちゃんの腕が見えた。
手にはグラスを持っている。
やっぱり酒、呑んでた。
『でも…大人はいいよな。
酒呑んで酔っぱらって、イヤなこと…全部忘れられる』
でも学生は無理だ。
酒は呑めない。
イヤなことを忘れる方法なんて何もないんだから。
「そうでもないよ」
柚木ちゃんは首をこちらに向けた。