俺はキミの生徒





「物心ついたときには隣にいて。

どんなときも一緒にいたの。


まあ…所謂、幼なじみってやつ。

お隣に住んでて、慎吾(シンゴ)っていうの。


1コ上であたしも加奈も慎くんって呼んでた。


すごく優しくて格好良くて…

ずっと、好きだった。


もう何十年も片思い、してるんだ」


言葉からも感じることができた。

柚木ちゃんがその慎吾って人のことをどれだけ好きなのか。




『やっぱそうだったんだ』


彼氏か好きな人だと思ってた。

この予想が当たってはほしくなかったけど。



「今…何してるんだろ。

あの写真はあたしが大学卒業したときの写真なんだけどね。


あれ以来…逢ってないの。」



一生逢わないでほしい。

そう思ってしまう俺はまだ子供なんだろうか。



このまま逢わずに柚木ちゃんの好きというキモチが薄らいでくれればいいのに。

そう思ってしまう俺はただの我が儘野郎なんだろうか。


でも、そう…思ってしまうんだ。









< 65 / 306 >

この作品をシェア

pagetop