三澤斗春とリッパー・ザ・ジャック。
「こんな所にも紛れ込んでいたか、宇宙人め!」
大きな声がした。
何かあったのだろうか。
宇宙人?
こどものごっこ遊びかな?
目線を、音源の方に向けた。
「は?」
そこには、一人の少女が完全にこちらを指差しつつ、走り込んできていた。
子どもというには、少々大きいお友達すぎる。
「成敗してくれる!」
そんなことを考えている間にも、少女は、一切スピードを落とす事なく一直線に突っ込んできている。
「え、えっ、僕!?」
声を上げたのは、長倉だった。
確かに、少女の目線の先には長倉がいる。
気付く。
先程の「つー、つー」という発言から、宇宙人と勘違いされたのだ。
んなバカな。
しかし、訂正しようにも、もう遅い。
亜九谷は巻き込まれないようにだけ、微妙に横に逃げた。
「問答無用! ちょいやーっ!!」
「え、えい!」
「うわぁ」
悲鳴とともに、どこをどうしたのか、少女の体はぐるりと宙で回転し、地面に落ちる。
あれだけの運動エネルギーを、余すところなく完璧に無駄にしたような技のようだ。
少女を転がした長倉の方が驚いている。
「よ、弱っ!?」
亜九谷の口から正直な感想が漏れ出した。