それは運命だから・・・
「ただいま・・・」
 誰もいない家で、響き渡る麻葉の声。
 
誰もいない家だけど、誰かが「お帰り」と言ってくれそうで・・・。
 

 ・・・なんて・・馬鹿馬鹿しい・・・。・・・

 
 8年前、両親が海外に行きそれっきり。どこに居るかわからない。ただ分るのは、名前と顔と生きているというだけ。8年もまっているとどうでもよくなるのが人間だ。


あと一人、双子の姉和葉(カズハ)は有名女子学院黄金中等学院にかよっている。
全寮制だから、帰って来るのは、大型連休か黄金休日という里帰りの日かだ。
 

一人でいるのは、もうなれたし・・・。


寂しくないと言ったら嘘になるけど、慣れてしまったから、なんとも思わない。



「ふう・・・」

 何だろう・・・。凄く眠い・・・まだ、6時なのに・・・。

俺は、ご飯も食べずにそのまま、自分の部屋に入り、ベッドにもぐりこんだ。


 「おやすみ・・・」
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