優しい魔王と優しい勇者の悲しいお話
少女がお城に戻ると、お城の中は大騒ぎになっていました。




それもそのはずです。




勇者たちは、みんな魔王に殺されてしまったのですから。




王様が困っていると、ふと、少女と目が合いました。




王様は藁にもすがる思いで少女に言いました。




「魔王を倒しに行ってくれ!」




「…わかりました。」




少女の言葉に王様はとても驚きました。




たくさんの腕の立つ勇者たちをあっという間に倒した魔王を、こんな少女が倒せるはずがありません。




王様はてっきり断られると思っていました。




今生き残っているのだって、魔王が怖くて隠れていたからだと思っていたぐらいです。
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