優しい魔王と優しい勇者の悲しいお話
周りから悲鳴が上がりましたが、少女の耳には届いていません。



少女は自身にかかった血を拭うこともせず、虚ろな瞳で王様を見つめました。



暫くして、少女はゆっくりと歩き出しました。



誰も少女を止めようとはしませんでした。



いえ、動けなかったのです。



あまりの出来事に、人々はただ黙って見ているしかありませんでした。



少女がいなくなると、少女の両親が泣き崩れました。



なぜあんな優しい子が…



誰も何も言うことはできませんでした。
< 49 / 63 >

この作品をシェア

pagetop