優しい魔王と優しい勇者の悲しいお話
『まず始めに、ごめんなさい。

心配かけて、迷惑かけて…その上連絡も出来なくて、本当にごめんなさい…

私はちゃんと元気にしてるから、心配しないで。

二人のことがとても心配です。私のせいで、ヒドイ目にあったりはしていない?辛い思いはしていない?

もしもそんなことになったら、私は堪えられない。

言ってね。絶対に守るから。絶対に…っ!

でね、話は変わるけど、私は今色んな村を旅してまわってるの。
世界中には色んな人がいるんだって知ったわ。

みんながみんな絶対に幸せってことはないけど、でもみんな笑ってる。不幸なんかに負けないように。

そんな人達を見てるとスゴク幸せな気持ちになるわ。

こんな綺麗なものがまだまだたくさんあるんだって知ったわ。
私は幸福も不幸も、彼の分まで見届けるわ。

お父さん、お母さん、こんな親不孝者の娘でごめんなさい。

こんな私を、拾って、育ててくれてありがとう。愛してくれてありがとう。

私は、今も昔も、家族だと思ってる。

二人のことを心から愛してるわ。大好き…』
< 58 / 63 >

この作品をシェア

pagetop