パパ



涙が零れないように、グッと下唇を噛み、下を向いて顔を隠す。



すると、繋いでいた手にギュッと力が加わった。



「舞依子、無理して言わなくても大丈夫だからな?俺は絶対、舞依子から離れないから。」



シュウの言葉で、目に溜まっていたモノが、膝の上にパタパタと落ちる。



───シュウ、本当に大好き。



「…舞依、パパの子じゃないかもしれないの。」



「…っ」



アタシの言った言葉に、シュウが息を呑んだのが伝わった。



「…確証はあんのかよ?」



振り絞った様な声を出すシュウに、今日起こった出来事を全て伝えた。



「舞依は、パパもママも芽依も…家族はみんな大好き。だけど、舞依だけ家族じゃなかったら?」



もし、そうだとしたらアタシは、残りの人生を自分で立って、生きていけるだろうか?



考えただけで、心臓の音が早くなり、涙が出て来る。



「パパにとって、本当に必要なのは、ママと芽依だけだったら?」



だったら、アタシはパパにとって、邪魔で憎い存在じゃないの?



< 27 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop