パパ
俺と、祁依子は同じ高校の先輩と後輩だった。
そして、あの男……飯坂健太(イイサカケンタ)は祁依子の彼氏だった。
「えっ!?ママの彼氏はパパじゃなかったの!?」
身を乗り出したアタシを、パパが軽く嗜める。
「話は始まったばかりなんだから、最後まで静かに聞く。」
パパはコーヒーを一口飲み、アタシが中断してしまった話を続ける。
祁依子はあの容姿だから、入学当初から自分の学年に留まらず、他学年からも有名だった。
だから、俺も祁依子の事は知っていたし、飯坂と付き合ってる事も知ってた。
まぁ、最初は俺が一方的に祁依子の事を知っているだけだった。
だけど、俺も高二の秋から生徒会に入ってね、ある程度は後輩からも名前を知られていた。
だからかな?祁依子が俺に声を掛けてきたのは。
通学が同じバスだったんだよ。祁依子と俺は。
まぁ、俺は本当に声を掛けられるまでは気付きもしなかったんだけど。