パパ
「舞依子、今から俺が言う事、本気だから。」
シュウの気迫に圧されて、おずおずと頷く。
「さっき、舞依のお父さんからあんな話を聞いたからってのもあるけど、やっぱり一番は舞依を悲しませたくないから。」
「…?」
シュウが言おうとしている事が分からない。唯一分かることは、別れ話では無いということだけ。
「…悲しませたくない、だから…だから、絶対に初夜まで手は出さない!!」
「だから、えっとー……俺と…」
顔を珍しく、真っ赤にしているシュウ。
この流れって、アレだよね…?
思わず、笑みが零れる。
アタシが、笑っていることで、シュウはますます赤くなった。もう、耳まで赤い。
可愛いなー、とますます笑ってしまうアタシを、シュウは軽く睨む。
だけど、そんな顔で睨まれたって全然怖くないし、むしろ可愛いから。
流石に笑いすぎたからか、最後の一言をシュウは、ムスッとした顔で、さり気なく言い放った。
「だから…」
「うん?」
「─────結婚して」
そう言うとシュウは、相当恥ずかしかったのか、アタシから顔が見えないように、ギュッとアタシを抱き締めた。