パパ
──後日談──
新学期のクラス替えでは、見事シュウと一緒のクラスになれた。
満開の桜並木の下を、シュウと並んで歩く。
校庭では、野球部やサッカー部が、早速部活に励んでいた。
「バスケ部は部活しないの?」
隣で間抜け面の、大きな欠伸をしているシュウに問い掛ける。
「俺は天才だから、さぼって大丈夫なんだって。」
「補欠から堕ろされても、しーらないっ。」
「スミマセンねー、万年補欠で!!」
「まったく、本当に!!」
アタシ達は、こんな感じでいつも通り。
パパから話を聞いた日からは、平穏な日々が続いてはいるんだと思う。
後は、この平和が壊れないように祈るしかないだろう。
「そーいえば、舞依。飯坂だっけ?何で今更、舞依のお母さんに会いに来たんだ?」
シュウが唐突に話を代えてきた。
あの男の顔が頭に浮かび、思わずため息をつく。
「あの人、会社の社長なんだって。」
「へぇー、羨ましい。」
呑気な声を上げるシュウを、無言で睨み話を続ける。
「だけど、今の奥さんとの間に子供が出来ないみたい。だから、舞依をちょーだいって。」
この話を、パパとママから聞いた時は本当に頭に来た。
ママとアタシを一度は棄てたのに、今更あまりにも調子がよすぎるでしょ。