パパ
ママは、ブーツの踵を鳴らして出かけて行った。
幸せそうに出かけて行くママの顔を思い浮かべて考えた。
よく考えたらママはまだ31だもん、デートとかしちゃっても当たり前か。
本当に遊びたい年頃で遊べなかったんだから。ママと同年代の人が、オシャレや学生を楽しんで居るときママは子育てをしていたから。
だから、芽依の世話はアタシに任せてママとパパは昔やれなかった事を、思い切り楽しんで欲しいと思う。
多分それが、今のアタシに出来る最大の親孝行。
だけど幸せな顔と同時に思い出すのが、さっきのうなだれた背中。
そして、さっきの男の言葉。
なんだか、この平凡な幸せが壊れそうな気がするのはアタシだけ?