白銀の景色に、シルエット。
「日向……好きだ。お前の事が好きだ」

「私も航が好き。ずっとずっと好きだったんだから」


 額を放して彼女を見ると、やっと笑顔を見せてくれた。一年振りの、心からの笑顔。

 戻って来てくれたのだと再確認した。


 それから引き寄せられるように互いの唇を重ね合わせる。


 久し振りのキスは何だか照れ臭く、初めてキスした時のように苦笑いを交わした。


「もう絶対、忘れないから」

「俺も今まで以上にお前を大事にする」

「無理しなくていいよ。普通に、今まで通りで」

「けど」

「あ、そうだ。私、向日葵が欲しい。部屋に飾るの」


 彼女らしい気の遣い方に、俺は頭が上がらない。


「それだけでいいのか?」

「うん。それで全部チャラね」

「──了解」


 一年前に準備していた向日葵はとっくに枯れてしまった。また新しく準備しよう。


 ──秘めていた一言と一輪の向日葵を。





*End*


――――――――――
 短編だというのに、これは長い執筆期間でした…。
 しかしその分、思い入れは充分にある作品になりました。

 最初バッドエンドの予定だったんですよ。でもあまりに二人が可哀想で、結局ハッピーエンドにしちゃいました。
 これで良かったんですよね、きっと。

 続編書けたら書きたいなって思うストーリーでした。
 ご拝読ありがとうございました。


by 08ー08ー12.
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