白銀の景色に、シルエット。
『あっ、ほら航! 見て見て、あっちの家の向日葵とこっちの家の向日葵、どっちの方が大きいと思う?』
そんな事を言っていたのは一年前だった。あの日の一ヶ月ほど前。
そうか…。あの日からもう一年が経とうとしている。
この一年は、彼女と付き合い始めて一番長い一年だった。
あの日俺は頼まれた仕事を断れず、彼女との前々からの約束を断った。
彼女は約束を断られた後、帰宅途中に歩道橋の階段で足を滑らせ、事故に遭った。その時に頭を強く打ちつけたらしく、目覚めた時には記憶が抜け落ちていた。
それだけでも俺には大きな衝撃であったにも関わらず、更に俺を地獄の底へ突き落としたのは、事故に遭った場所と手荷物だった。
彼女が事故に遭ったのは、帰路とは全然違う方向にある俺の会社の近くで、彼女が持っていたのはカバンとコンビニの袋。
袋の中には、俺が好きな鮭おにぎり二個と俺が愛用してる栄養ドリンクが入っていた。
つまり彼女は、約束を断った最低な恋人に健気にも差し入れを持って行くところだったのだ。
それを知ったときの俺は、この上なく荒れた。
俺のせいで彼女は事故に遭ったんだ。俺のせいで彼女は記憶喪失になってしまった。
そう思うと悔しくて苦しくて、彼女の両親に合わす顔がなかった。申し訳なくて何べんも何べんも土下座を繰り返した。
けれど、彼女の両親は俺を責めようとはしなかった。
そんな事を言っていたのは一年前だった。あの日の一ヶ月ほど前。
そうか…。あの日からもう一年が経とうとしている。
この一年は、彼女と付き合い始めて一番長い一年だった。
あの日俺は頼まれた仕事を断れず、彼女との前々からの約束を断った。
彼女は約束を断られた後、帰宅途中に歩道橋の階段で足を滑らせ、事故に遭った。その時に頭を強く打ちつけたらしく、目覚めた時には記憶が抜け落ちていた。
それだけでも俺には大きな衝撃であったにも関わらず、更に俺を地獄の底へ突き落としたのは、事故に遭った場所と手荷物だった。
彼女が事故に遭ったのは、帰路とは全然違う方向にある俺の会社の近くで、彼女が持っていたのはカバンとコンビニの袋。
袋の中には、俺が好きな鮭おにぎり二個と俺が愛用してる栄養ドリンクが入っていた。
つまり彼女は、約束を断った最低な恋人に健気にも差し入れを持って行くところだったのだ。
それを知ったときの俺は、この上なく荒れた。
俺のせいで彼女は事故に遭ったんだ。俺のせいで彼女は記憶喪失になってしまった。
そう思うと悔しくて苦しくて、彼女の両親に合わす顔がなかった。申し訳なくて何べんも何べんも土下座を繰り返した。
けれど、彼女の両親は俺を責めようとはしなかった。