白銀の景色に、シルエット。
【side湖】
…………。………、……。
ま、迷った。嘘でしょ。
さっきまで暦が隣にいたのに! なのにはぐれた。
どうしよう?! 右も左も私だらけ!
強気な事言っておいて、結局こうなるわけ。
ごめん、小絃。私、甘く見てた。
あぁぁ。一人は嫌だー!
暦、小絃、十月、誰でもいいから傍にいてよ。寂しいよ。
うぅ……泣きそう。
今どの辺? 随分歩いて疲れて来た。
暦、会いたいよ…。
【side十月】
やべぇな。いつの間にか小絃と離れてる。
俺が迷ったなんて、湖に笑われる。……屈辱だ。
けど、今はそんな事気にしてる場合じゃない。とりあえずみんなと、出来れば湖と合流しないと。
湖もはぐれてるかもしれない。そしたらアイツは寂しがって不安なって泣いちまう。
だからなるだけ早く湖を見つけないと。はぐれていないならそれでいい、もしはぐれていたら…。
よし、まずは湖との合流だ。小絃には悪いけど、少し待ってもらって湖を優先にしよう。
今、こっちから来たから、次はこっちか?
先を急ごうと一歩踏み出したところで、何かが鏡に映ったような気がして立ち止まる。
「十月くん!」
名前を呼ばれて、俺は振り返った。