白銀の景色に、シルエット。
散るもの
「阿久津 満さん。俺と付き合って下さい」
一ヶ月間、ずっと見ていた女に告白した。
勝算はあった。クラスが違くとも満の気持ちが俺に向くように、会う度に気がある素振りを見せ、優しくしていたのだから。
「は、はい」
満は頬を赤らめ、頷いた。
そう、全ては俺の思惑通り。狂う事なくコトを運んでいる。
完璧な復讐計画。
事の発端は一ヶ月前。
俺の大切な彼女の死だった。
中一の中頃、ごく僅かな親しい人だけに言い、交際を始め、同じ高校への進学も決まった。
しかし、高校に入ってすぐ、彼女はいじめに遭った。
俺がどうにかすると言えば、彼女は『自分の問題だから』と言って聞かなかった。
仕方なく様子を見ていたが、何の前触れもなく彼女は自殺した。
詳しい事情は分からなかった。彼女はいじめの事は何も話さなかったから。
仕方なく、彼女のクラスメイトに訊き回った。しかし、次のいじめの的になるかもしれないという不安からか、誰に訊いても黙り込むだけだった。
……納得がいかなかった。
確かに偽善者な部分もあった。けれど、優しくて真面目な奴だった。
それなのに何故、彼女が死ななければならなかった?
優しかった彼女が何故、そこまで追い詰められないといけなかった?
どうしようもない怒りは、彼女を死に追いやった阿久津満に向かった。
アイツが……アイツが奪った。彼女の……羽名の未来を。笑顔を。全て。
俺のたった一人の大切な羽名を。
──だから、俺は決めた。阿久津満に復讐すると。
羽名と同じつらさ……いや、それ以上に苦しめてやると。