白銀の景色に、シルエット。
「まだ分かんないの? 俺だよ、犯人」

「え……?」

「全然気づいてないんだもんな、お前。笑えたよ」

「ど…う…して、啓……」

「羽名の恋人が俺だからさ」

「っ?!」

「復讐だよ。羽名を追い詰めて自殺させたお前らへのな」

「嘘よ! だって、啓介……優しくしてくれた! キスだって」

「お前の心をズタズタにするには、俺に夢中にさせないといけないしな。キスくらい簡単だよ」


 満の顔色は真っ青で、ガタガタと震えている。


「嘘よ、そんな…。今までのは、全て啓介が…?!」

「その通り。……俺にとってお前は殺してやりたいほど憎い存在だよ」

「嫌! 聞きたくない!!」


 耳を押さえ、蹲る満。そんな事したって無駄だ。声は聞こえる。


「愛なんてない。お前の顔を見る度に殺してやりたいと思ってた」

「い……やぁ…っ」

「お前が生きている間、俺はずっとお前を恨み続ける」

「───?!」

「一生な」


 満を睨みつけ、部屋を後にした。


 これで満が自殺すれば、計画は成功。

 漫画とかなら、ここら辺で後悔したりとかするんだろうな。それが普通だ。

 けど俺は後悔なんかしてない。寧ろ清々している。やっと終わるんだから。


 やっと……。















 そして翌日、HRで満の自殺が知らされた。


 これで俺の復讐計画は終わり。

 放課後、俺はさっさと学校から出た。

 ある場所へ向かう。

 母校である中学校から歩いて十分の所にある小さな公園。羽名が好きだった場所。四季に合った花々が咲き誇る公園。

 今は冬らしくスノードロップが花壇を埋め尽している。


 いつだったか、この公園のベンチに座っていた時、羽名が訊いて来た事があった。


『スノードロップの花言葉、知ってる?』


 知る訳ない。俺、男だし。そんな女っぽいもんに興味ない。

 そんな事を思いながら黙ってる俺を横目に笑って。


『初恋のためいき、なんだよ』


 そう言ってベンチから立ち上がって俺の前に立った。
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