白銀の景色に、シルエット。
『私、人を好きになったのって初めてだから…不安にもなる。でも、啓介が大好きだから。嫌いにならないでね』


 不安そうな顔をする羽名を、心底愛しいと思った。


 俺だって同じ。初めての恋だから。不安にもなる。

 だから、一緒にいろんな事を積み重ねて行こう。


 そう思っていたあの日。もう俺の隣にいない。

 何もしてやれなかった、無力な俺。だからせめて、羽名の代わりに復讐を。


 そう思った。


 ──なぁ、羽名。お前笑うかもしんないけど……いや、笑ってもいいけどさ。

 俺、お前に告白した時、生涯かけて愛するのは羽名だって本気で思ってたんだ。

 羽名は俺にとって最初で最後の彼女で、いつか妻になって。

 笑えるだろ? 本気でそんな事を考えてた。


 あの頃は本当に幸せで、毎日が輝いていた。

 羽名がいて、当たり前のように笑っていてくれた。まさかいなくなるなど考えられなかった。

 羽名が死ぬなんて、これっぽっちも思ってなかった。


 もう妻にする事は出来ないけど、生涯かけて愛するのはやっぱり羽名だけ。確信している。

 これから先、他の誰かを好きにはなれない。昔も今もこれからも、俺にとって羽名だけが全て。

 羽名が死んだ時、俺も死のうとした。でも、復讐をしなくてはならないと思ったから一ヶ月間死ねずにいた。

 復讐が終わったら、死ぬつもりだった。けど、これから先も生きていかなきゃなんないよ。

 羽名を守ってやれなかった罪と、満を死に追いやった罪を背負わないといけない。あんな最低な奴でも、生きていた人間だから。

 間接的に殺した罪を、嫌でも生きて償って行く。罪を背負って生きて行く事はこの上ない償いだと思うから。


 すぐに傍に行けなくてごめんな。でも、寂しかったら迎えに来て。いつでも羽名の傍に逝くから。

 その時はもう、絶対独りになんてしないから。


 羽名―──。


*End*


――――――
いじめも復讐も醜いモノ

誰かにした行いは必ず反る
自分に……または子供に

因果応報

それでも貴方は
悪行をはたらきますか?
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