白銀の景色に、シルエット。
追うもの





 好きだったの。

 姿勢がとても綺麗な貴方に一目惚れした。だって、最近の男子はダラダラしてるのが当たり前なんだもん。

 そんな中で、背筋をまっすぐにして歩く貴方は珍しくて。私はすぐに捕えられてしまった。

 貴方の隣で歩いてみたい。そう想いを馳ていた。


 買い物で一人、遠出したある日、私は見てしまった。同じクラスの女の子と楽しそうに歩いている所を。

 見てはいけなかった。だって、見てしまったあの日から私はおかしくなってしまったんだ。


 隣で歩いていた彼女に嫉妬を覚えてしまった。それはもう、狂うほどの。


 彼女をいじめればいじめるほど気が晴れた。でも、彼と一緒にいる彼女を見ていると苛立ちは増した。

 日に日にいじめはエスカレートした。止められなかった。

 だから、彼女が自殺したと聞いた時、愕然とした。私の身勝手な嫉妬が、彼女を死に追いやった。

 最低な事をしたと、今更ながらに思った。


 どうしたらいいのか分からなかった。


 呆けている間に彼が接近して来た。怖かった。嬉しいよりも先に怖かった。

 彼は物凄く私を恨んでいる。大切な彼女を死なせた張本人である私を。

 だからすぐに分かった。貴方は私に復讐をするつもりなんだって。

 分かったからこそ、逃げちゃダメだと思った。復讐されても仕方がない事をしたんだから。逃げるなんて虫の良すぎる事は出来ない。

 相手が好きな人なら、尚更。


 告白された時も、不本意ながらも嬉しく思って受けた。

 こうなったら、彼が満足出来るまで嫌な女を演じようと思った。それしか出来ないと。

 とことん甘えて、我が儘言って。最低な女だって罵ってくれればいい。その方が楽。

 でもやっぱり、ずっと貴方の隣で歩いてみたいと思っていた事が叶って嬉しい気持ちは隠せなかった。


 そんな私は本当に、最低。
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