白銀の景色に、シルエット。
「分かんないんだ」
「何が?」
「誰かを好きになってさ、好きになりすぎて病気になるって。しかも死ぬんだぜ?」
男勝りに育った少女は“恋”を知らない。
前に訊いてみた分には、恋した事はなく、男に興味はないと断言していた。
「んー。俺は何となく分かるなー」
「へ? 何、お前、恋してんの?!」
「内緒。でもさ、誰かを好きすぎて病気になって死ぬって分からなくもない」
「全っ然分かんねぇ」
「ま、いいけど」
更に考え込んだ少女の頭を撫でる少年の大きな手。少女は少し驚きを見せ、それからされるままになった。
こんな風に頭を撫でられるのは嫌ではない。特にこの少年にされると穏やかな気分になる。
「菜子は菜子らしくで良いんだよ」
「……ぉ、ぉぅ」
優しく笑う少年と頬を赤く染めた少女は、冷たい風が吹く中を歩き続けた。
それぞれのペースを保ちながら。
*End*
「何が?」
「誰かを好きになってさ、好きになりすぎて病気になるって。しかも死ぬんだぜ?」
男勝りに育った少女は“恋”を知らない。
前に訊いてみた分には、恋した事はなく、男に興味はないと断言していた。
「んー。俺は何となく分かるなー」
「へ? 何、お前、恋してんの?!」
「内緒。でもさ、誰かを好きすぎて病気になって死ぬって分からなくもない」
「全っ然分かんねぇ」
「ま、いいけど」
更に考え込んだ少女の頭を撫でる少年の大きな手。少女は少し驚きを見せ、それからされるままになった。
こんな風に頭を撫でられるのは嫌ではない。特にこの少年にされると穏やかな気分になる。
「菜子は菜子らしくで良いんだよ」
「……ぉ、ぉぅ」
優しく笑う少年と頬を赤く染めた少女は、冷たい風が吹く中を歩き続けた。
それぞれのペースを保ちながら。
*End*