白銀の景色に、シルエット。
See you again...
「またね、」
そう言って私達は別れたよね。
貴方にとっては大した事のない一コマで、私にとっては哀しい出来事で。
いつかまた会おう、なんてクサイ約束をして別れたんだ。
――二度と会う事なんて無いのに。
だって貴方は、遠い遠い…私の手の届かない場所へ行ってしまった。話したくたって話せない。
そんなに遠くなってしまった貴方を追いかけるほど私は愚かではなくて、今もこうして変わらない毎日を過ごしてる。
桜の蕾が綻ぶのを、
潮の香りが届くのを、
葉が色付くのを、
六花が舞い降りるのを、
ずっとずっと感じているの。
それは貴方が望んだ事でもあった。
貴方も私も、愛してるなんて言わなかった。
愛の無い世界へ旅立つ貴方にそれは不要で、貴方の居ない世界で生きる私にも不要だった。
もう好きじゃない、そんな言葉が貴方を少しは楽にさせたでしょう?
弱音なんて吐く気は無い。
幾つもの季を越えた私はもう、そんなに弱くはない。
――でも、それでも、人はやっぱり完璧ではなくて。
町で擦れ違う男女を、町を彩るイベントを、幾度も目にしては私達を重ねた。
当たり前のように町を歩いては、当たり前にたくさんのイベントを一緒に過ごしていた日々を。
嫌でも、この目が映すの。