悪魔の館へようこそ



宗士side



羅夢ちゃん、
急にどうしたのかな?


「気にしなくていいわよ。」


「…え?」


「羅夢のこと。
嬉しかったのよ。
宗士くんが
喜んでくれたことが。」


俺が…喜んだこと?

普通弁当作ってくれたら
喜ぶだろ?


「あの子、
両親が忙しいからって
昔からご飯作ったりしてたの。
喜んでもらえるからって。」


だから、羅夢ちゃんは
料理が上手なのか。


「…両親が帰って来ない日も。
もし帰って来た時に
ご飯作ってあったら
喜んでくれるでしょ…って。」


それって…。


「あの子の両親
あまり家に帰って来ないの。
二人共お偉いさんで
ほとんどホテル住まい。
…羅夢はいつも一人家で
帰って来ない二人を
ただ待ってたのよ。」


あの時はそんなこと
一つも言ってなかった。

…言ってくれなかった…。


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