悪魔の館へようこそ



「うちの両親が共働きで
家にいても一人が
多かったの。」


二人共忙しいから
揃ってご飯食べることも
ほとんどなかった。


「それでもあたしは
良かったんだけどね。」


たまにしか会えなくても
良かった。

一生懸命
働いてくれてるんだし。

我が儘なんて
言った覚えもない。


「だけどね…。
転勤が決まっちゃったんだ。
二人共別々のとこ。」


同じ時期に。

正反対の方向に。


「二人共あたしが
着いて来てくれると
思ってたみたいで。
パパのとこ〜、
ママのとこ〜って
よく言い争ってたよ。」


「羅夢ちゃんのこと
本当に好きだったんだね。」


そうだといいけどね。


「結局選べなくて
一人になっちゃった。」


ママに着いて行ったらパパが
パパに着いて行ったらママが
悲しむもん。


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