ぎゅっとして
「優衣」


突然声をかけられて、聞き覚えのある声に振り向くと、そこには―――


「章!何してんの?」


そこにいたのは弟の章だった。


「近くまで来たから、もしかしたら会えるかと思って」


「何か用事だったの?」


「うん・・・・・」


歯切れの悪い態度に、ピンと来る。


「・・・・・また?」


「ごめん」


いつもながらのことに、あたしは溜め息をついた。
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