ぎゅっとして
「・・・・・さっき」


「声、かけてくれればいいのに」


不思議に思って言うと、慧はちょっと肩をすくめた。


「・・・・・話してたから」


「あ・・・・・見てたの?」


「・・・・・見られちゃまずい相手だったわけ?」


少し怒気を含んだ言い方とその眼差しに。


あたしははっとして首を振った。


「ち、違うよ、あれは―――」


「明日のデートの相手?」


「違うってば!」


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