ぎゅっとして
「あんたに言われたくないし。余計なお世話」


ベッと舌を出すあたしを見て、慧がおかしそうにくすくすと笑う。


「色気ねえな。お前、ただでさえ10人並なんだから、もう少し女らしくしないともてねえぜ」


「だから、余計なお世話よ。あたしだってその気になれば、彼氏の1人や2人・・・・・」


「いるの?」


突然慧があたしのことを真っ直ぐに見るから、一瞬どきりとする。


「い、いないけど・・・・・」


「なんだよ」


気が抜けたような、呆れたような表情。


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