ぎゅっとして
「杉浦―――さん」


少し青白い顔をしたその人は、あたしの声に応えるように、少し微笑んだ。


「どうして―――」


ここに?


そう聞こうとした時、突然章があたしの前に立ちはだかった。


「章・・・・・?」


「何してんだよ、あんた」


章の、低い唸るような声。


「・・・・・章くんが、ここに来るって聞いて・・・・・」


杉浦さんの言葉に、章が顔をしかめる。


「ざけんなよ。そんな言葉に騙されるほど俺はもうガキじゃねえ。あんたの狙いは―――」


そこまで言って、章は言葉を切った。
 
< 141 / 225 >

この作品をシェア

pagetop