ぎゅっとして
少しの沈黙の後、杉浦さんがあたしの方を見た。


「―――久しぶりだね。優衣ちゃん」


そう言って笑った杉浦さんは、少しやつれた感じはしたけれど、5年前とあまり変わってないように見えた・・・・・。


「杉浦さん・・・・・」


「君に、会いたいと思ってたんだ。僕は―――」


そこまで言った時、章があたしの姿を隠すように両手を広げた。


「優衣に近づくな!」


目の前に章の背中があり、あたしからは杉浦さんの姿が見えなかった。


「章くん、僕は―――」


「あんたの話なんか聞きたくねえ。俺達の前に、現れるな!」


―――章・・・・・?


いつもと様子の違う章。


章が杉浦さんを嫌っているのは知ってたけれど・・・・・。
 
 
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