ぎゅっとして
「なんで?あの人のこと気に入らないのは分かるけど、あたしには別に―――」


何もしてないのにと続けようとして、振り返った章の視線の鋭さに言葉が止まる。


「いいから、近づくなよ」


「・・・・・わかった」


そう言うと、章は息をつき、


「・・・・・じゃ、俺行くわ。慧さん、優衣頼むね」


「ああ」


慧が頷くと、章はちょっと笑って見せ、またライブハウスの中へと消えてしまった・・・・・。


「どうしたんだろう、章・・・・・」


あたしの言葉に、慧は肩をすくめた。
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