ぎゅっとして
「当たり前じゃない!あたしのせいで―――」


「それは、違うだろ?」


口を挟んだのは慧だった。


「あの男が優衣を好きになったのは優衣のせいじゃない。遺書にも書いてあっただろ?自分を責めるなって」


「慧・・・・・」


なんて言ったらいいのかわからなかった。


お姉ちゃんの優しい笑顔が脳裏に蘇る。


「俺がバンドを始めたのもそれに少し関係してるんだ」


「バンド・・・・・ミュージシャンになりたかったんじゃないの?」


「もちろんそうだよ。だけどもうひとつ。いろんなところでライブをやれば、そのうちあいつが現れるんじゃないかと思ってたんだ。ママは・・・・・反対してたけどね」


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