ぎゅっとして
「あの、私、柴崎といいます。慧君と同じ大学のものなんですけど、慧君は―――」


『―――少々お待ちください』


再び静寂が訪れ―――


やがて、ギィーーーという金属のこすれる音と共に、門がゆっくりと開く。


そして恐る恐る中へ足を踏み入れる―――と、


「優衣」


どこからか声が聞こえ―――


きょろきょろとしていると、突然目の前に慧が姿を現した。


「わっ」


思わず声を上げると、慧が呆れた顔をする。


「なんて声あげてんだよ。悪い、駅まで迎えに行きたかったんだけど―――」


「だ、だいじょうぶ。ちょっと迷いそうになったけど―――。それよりも、すごい大きなお家でびっくりしちゃった」


あたしの言葉に、慧はちょっと苦笑した。


 
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