ぎゅっとして
「こっち、来て」


そう言って手をひかれていくのは、玄関とは違う方向で―――


「ねえ、どっちに行くの?玄関は―――」


「そこから入ると、いろいろうるさいから。裏から、俺の部屋に行こう」


なんだか迷路に迷い込んだみたいだった。


色とりどりの花が咲き誇る花壇の間をすり抜け、森のように木々の生い茂っている間をすり抜け―――


そして突然、目の前にさっき見上げた邸宅の裏側に出て来たのだった。


そして、普通の家の玄関よりも広い裏口の扉を開け、中に入る―――。


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