ぎゅっとして
中は、殺風景に見える部屋で。


ベッドと机、それから洋服ダンスにテレビとオーディオ。


必要なもの以外は置いていない、シンプルこの上ない部屋。


「その辺、適当に座ってて。飲み物持ってくる」


「あ、いいよ、自分で―――」


「中でも迷子になりたい?」


「え―――」


「そこに座ってな」


パタンと、音を立てて閉まる扉。


途端に静寂が訪れて―――


なんだか1人、取り残されたみたいで寂しくなってしまう。

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