ぎゅっとして
―――どうしてこんなに静かなんだろう・・・・・。


何かが、足りない気がした。


―――何だろう・・・・・?


しばらくすると、慧がティーカップを2つ乗せたトレイを持って戻ってきた。


「あ、ありがとう」


「いや―――。砂糖、入れてないから好きなだけ入れて」


「うん。あのさ―――何か、あったの?」


あたしの言葉に、慧はちらりとあたしの方を見た。


「急に呼び出すなんて―――なんか、慧らしくない。それに、家から出られないってどういうこと?」


大学にも来れない。駅まで迎えに来ることもできない。


それは家から出られないということ。


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