ぎゅっとして
まるでホテルのような家だと思った。


きれいに磨き上げられた広い廊下を進み、まるで映画に出てきそうな広いリビングルームに入る。


上品なベージュの革張りのゆったりとしたソファーに足を組んで座っていた女性がこちらを見る。


雑誌やテレビなどで見たことはあるが、これほど身近で本人を見るのは初めてだった―――。


大学生の子供がいるとは思えないほど若々しく、そしてまるで女優のようにきれいな女性―――ジュエリーデザイナーの岸本莉緒が、そこにいた。


｢―――慧、紹介してくれる？｣


その言葉に、慧はちらりとあたしを見ると、また前に向き直り、口を開いた。


｢―――柴崎優衣さん。同じ大学の同級生で・・・・・付き合ってる｣


｢あの、はじめまして、柴崎です｣


ぺこりと頭を下げる。

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