ぎゅっとして
だからあの時―――


慧に莉緒さんのことを聞いた時。


慧の様子が急に変ったのは、そんな過去のいじめのせいだったんだ・・・・・。


「無理やり学校へ行かせることはできなかった。家庭教師をつけて―――特殊な学校へ何度か通わせて・・・・・何とか卒業させることができたの。高校へ行ってからは友達もできて、いじめられることもなくなったけれど―――でも、あの子が自分からわたしのことを話すようなことはなかったと思うわ。この家に連れて来た友達も―――高校生の時に一度、相馬君という男の子を連れて来て以来―――あなたで2人目よ」


「相馬君は、あたしも友達で―――聞いたことがあります、家に来て初めてお母さんのことを知ったって」


「そう。いいお友達なのね。あの子が信じている友達なら、わたしも信じるわ」


そう言って莉緒さんは微笑んだ。



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