ぎゅっとして
「―――慧にも、あなたという大切な人がいたのね。傍を離れたくないという人が・・・・・。きっと、わたしが無理やり連れて行こうとしても、無駄なんでしょう」


「あの・・・・・あたし・・・・・」


「なあに?」


「あたしにとっても、慧さんはとっても大切な人です。ずっと、傍にいたいって、思ってます。あたしはお母さんの代わりにはなれないけど―――でも、あたしなりに精いっぱい彼を支えて・・・・・一緒に、生きていきたいんです」


あたしの、精いっぱいの気持ち。


楽しい時も、辛い時も、慧と一緒にいたい。


一緒に笑って、一緒に泣いて―――


そうして時々けんかしながら、ずっと一緒にいられたら・・・・・。


その気持ちを、莉緒さんにもわかって欲しかった。


もうすぐ結婚するという莉緒さんなら、きっとわかってくれると思ったから・・・・・。



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