地球最後の24時間
 碁盤の目のような生活道路を何度か曲がったため、もう方角など分からない。しかし追ってくる暴徒らのしつこさは常軌を逸していた。

(なんだってんだ、いったい)

 酸素が足りない。体中の血液がいまにも口から噴き出しそうな苦しさのなか、二つ先の角から女が一人飛び出してこちらへ駆けてきた。

 が、女だけではなかった。

 その後に続いて飛び出してきたのは、やはり俺の後ろで狂ったように追い掛けてくる連中と同類のような奴らだ。

(前からも!)

 女と目が合った。まだ中学生か高校生くらいの少女だろう。

 金髪に派手な化粧と体にフィットしたブルゾンにミニスカート。一般にギャルと呼ばれる俺の苦手なタイプだ。こんな格好で外をうろついているとは自殺行為以外の何物でもない。

 挟まれる前に次の角を右に曲がる、と同時に少女も同じ方向へと進路を取った。

 靴を脱いで裸足で走る少女と併走するかたちになる。後ろの暴徒の数は倍に膨れ上がった。

 状況は好転するどころか悪化している。
< 103 / 278 >

この作品をシェア

pagetop