地球最後の24時間
 薄暗い景色が突然明るいオレンジ色に照らされ、俺はその北にある光源に目を走らせた。

 切り裂かれた雲間から火の玉が赤い線を引いた。次の瞬間、まばゆい光が山向こうに広がり、その上の雲が方円状に吹き飛ばされる。

 円く黒い夜空が姿を見せた。

「海!?」

「海だ!」

 そこそこの大きさだった。間もなく関門海峡に差し掛かる。地鳴りがあたりに響いた。

 これ以上スピードが出ないのがもどかしい。この緩いカーブを抜ければ関門橋が見えるはずだ。地鳴りが止まない。その中で視界は関門橋を捉えた。あとニキロほどで九州の地を踏むことが出来る。

(間に合うか!?)

 二台が併走したまま橋に飛び込んだ。途端に突風にあおられてその進路を乱す。

(……っ!)

 目を疑うような光景。

「先に行け!」

 あさきちに向かってあらん限りの声を振り絞った。
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