地球最後の24時間
 とどまることなく加速する二台のバイクは橋の終盤に差し掛かった。これならば間に合うかもしれない。既に右手の景色は水の壁に塗り尽くされていた。

 その壁が後方で橋を飲み込んだ。

 橋脚が歪み、橋を吊り下げるワイヤーは瞬く間に次々と破綻をきたした。橋が大きく揺れ、身をよじるように後方から崩れ落ちてゆく。

 落下の恐怖に襲われるなか、前方に延びる道は見る間にせり上がり、視界は空に覆われた。

「登れええーっ!」

 迫る波の轟音をも切り裂いてあさきちが吼える。崩れた波頭から降りかかる飛沫が目に入った。

(もう少し!)
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