地球最後の24時間
 先月、ランドセルを佳絵にプレゼントとして贈ったばかりだ。幼い文字で『小学校にあがったら見に来てね』とお礼の葉書が届いていた。

「佳絵、ごめんな」

 俺はしゃがんで幼い姪を抱き締めた。

「亜紀さんか?」

 兄貴はその姿を眺めながら察した。

「うん……」

 母親はその言葉に声を大きくして反論した。

「なんで? もう別れたんじゃない。あたしたちは家族でしょ? なんでそんな……」

「ごめん」

「ごめんじゃないでしょ! 死ぬのよ、みんな。最期くらい一緒に過ごして……」

「もう死んでるんだよ! 五年前から、亜紀と別れた時から俺は死んでたんだ。亜紀が一緒にいて初めて生きる意味があったんだ。今になってやっと気づいたんだ。俺は最期まで生きていたい。だから……行くんだ」

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