地球最後の24時間
俺はそれを上着のポケットに押し込んだ。
沙羅と佳絵が別れを惜しんで泣き出した。と言っても俺が帰るときに追い泣きするのはいつものことだ。
二人とも俺によく懐いていたが、俺もまた二人を溺愛していた。その可愛い天使たちを両手に抱きしめた。
「沙羅、佳絵。二人ともずっと自分の子供みたいに思ってた。お嫁さんになった二人を見られないのは残念だけど、最期まで忘れないからな」
二人の泣き顔が頷いた。
「お父さんとお母さんが守ってくれるから、もう泣いちゃだめだぞ」
「うん……わかったあ」
言ったそばからまた涙が零れ落ちる。その健気さがたまらなく胸に響いた。
全員に別れを告げ、バイクに跨った俺に最後に兄貴が声をかけた。
「なあ、お前の俺との一番の思い出はなんだ?」
「兄貴がでっけえコイにルアー引っ掛けて逃がした時『日本記録のブラックバスだった』って大騒ぎしたことだね」
「さすが兄弟、俺も同じだ。だけどな、あれは間違いなくバスだった」
「まだ言ってるよ。コイだって」
笑いながら拳と拳をぶつけた。
いつも明るく、が兄貴の生き方だ。
沙羅と佳絵が別れを惜しんで泣き出した。と言っても俺が帰るときに追い泣きするのはいつものことだ。
二人とも俺によく懐いていたが、俺もまた二人を溺愛していた。その可愛い天使たちを両手に抱きしめた。
「沙羅、佳絵。二人ともずっと自分の子供みたいに思ってた。お嫁さんになった二人を見られないのは残念だけど、最期まで忘れないからな」
二人の泣き顔が頷いた。
「お父さんとお母さんが守ってくれるから、もう泣いちゃだめだぞ」
「うん……わかったあ」
言ったそばからまた涙が零れ落ちる。その健気さがたまらなく胸に響いた。
全員に別れを告げ、バイクに跨った俺に最後に兄貴が声をかけた。
「なあ、お前の俺との一番の思い出はなんだ?」
「兄貴がでっけえコイにルアー引っ掛けて逃がした時『日本記録のブラックバスだった』って大騒ぎしたことだね」
「さすが兄弟、俺も同じだ。だけどな、あれは間違いなくバスだった」
「まだ言ってるよ。コイだって」
笑いながら拳と拳をぶつけた。
いつも明るく、が兄貴の生き方だ。