地球最後の24時間
 頭上から降り注ぐ光がその群れを追い、殺戮ゲームは暴徒から自衛隊員にプレイヤーが交代したことを告げていた。

 次々とサーチライトを浴びた人間が割れる水風船のように弾け飛んでゆく。

(頼む……そのまま……)

 橋の上をゆっくりと照らし出しながら進んでいく光のスポットは、阿鼻叫喚の地獄絵図を映し出していた。そしてその影のすぐ後ろを、俺は息を潜めるようにして後を追う。

 サーチライトを浴びないように速度に気を付けながら無残な死体を乗り越えて進んでいく。

 眼前に繰り広げられている光景が、昔やったゲームセンターのガンプレイのように現実感なく映った。

 本当はもう俺は死んでいて、今は夢の続きを見ているのではないか……そんな錯覚さえ起こしてしまうほどだ。

 しかし、後ろから聞こえる荒々しい排気音が否応なく現実の世界に引き戻す。

(あいつら! マジか!)

 四台のワンボックスカーが、スピードを緩めることなくサイのごとく突進してきていた。前は弾幕、後ろは狂気の車。

 だが、追い詰められた俺と相棒のバイクの取るべき道は決まっている。
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